1st二日目の逢田梨香子さんと2nd初日の逢田梨香子さんの話

「今日一曲目でいきなり歌詞間違えちゃって! 私のソロパートなのに善子ちゃんとこの歌詞歌っちゃったの。なんかもう私ね、やらかす運命なんだと思う。でも、もういいんだ! それも含めて私だから!(笑)」

 アンコール後、最後のMCでの逢田梨香子さん。うろ覚えだけども大意としてはこんなようなことを言っていた。

 

 8月6日。『Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR』初日、名古屋公演のライブビューイングを観てきた。

 盛りだくさんの内容を順序立ててレポにするのは非常に大仕事なので、どうしても文章にしておきたいことだけ。上の通り、逢田梨香子さんのアンコール後MCについての話である。「やらかす運命」って、前にも何かあったのか。1stライブの二日目を観ているという前提で話を進めていくので、何のこと言ってるか分からないという方はググるなりなんなりして頂けると幸いです。

 

 さて、今回の一曲目「HAPPY PARTY TRAIN」で逢田さんが歌詞を間違えた時、正直なところドキッとしたという人、結構多いのではなかろうか。逢田さんは堂々と笑顔で一曲目を、そしてライブを終えてくれたが、あの瞬間色々な記憶が蘇りかけはしなかっただろうか。自分はした。でも、今回のMCを聴くためにこのちょっとしたミスがあったのだと思うと、本当によかったと感じる。神の思し召しかと思うくらいである。

 MCでは、今回あったことも笑いに変えてくれて、1st二日目でのあのことも少し匂わせつつ、それも笑い飛ばした。

 自分は不思議と、何か肩の荷が下りたような気持ちになった。一観客に過ぎないのだけど……1stでのあのアクシデントを心のどこかでずっと引きずっていたし、ずっと心配していた。それが解き放たれたような思いがしたわけである。

 

 どうしても上から目線な物言いになってしまうけど、あそこからの立ち直り方として「二度と失敗をしない」逢田さんにはなって欲しくなかったという思いがずっとあって、ちょっと失敗しても強引に気にせず続けちゃうような力が大切だよなぁ……と、折にふれて考えていた。好きなバンドの面々の顔なんかを思い出しながら。

 そんなのは自分のような者が心配するまでもなくプロである逢田さんはわかっていたし、そうでなくてもたくさんのプロの集まる現場なんだからスタッフの皆さんもきっとよく話し合ってくれたのだろう。完全に杞憂だった。

 ただ、もし、今回のライブを逢田さんが完璧にこなしていたら自分の杞憂はずっとそのままであったはずだとも思うのである。自分が心底安心するためには、少し失敗して、その上でへこたれない逢田梨香子さんを見るしか道がなかったのだ。とはいえ、そんな機会は訪れないだろう……と思っていたところ、今回一曲目のことがあり、そのまま笑顔で歌いきった逢田さんを見てまずはホッとし、さらに最後、アンコール後のMCを聴きながら、心から救われた、と思った。

 ちょっとした巡り合わせを感じずにはいられなかった。ツアー初日。一曲目。そんなタイミングでこんな出来事があった。僕はすごくドラマを感じる。

 

 自分と同じような杞憂を持っていたAqoursファンは少なくないのではなかろうか。

 それを受けて初日の一曲目でこの小さな失敗があったことは僕は本当によかったと思う。他のどのタイミングよりもここが良かった。

 逢田梨香子さんのプロとしての有り様に、心から感謝と敬意を表したいです。

 

 いーいツアーになるぞー!

偏向記事の颪が吹く! 外界式報道がもたらす「排他主義」 ( 『東方文果真報』感想)

 『東方文果真報 ~ Alternative Facts in Eastern Utopia.』。非常に面白かったので、これから買おうかどうか迷っている方の参考になればと思い、感想を書きます。

 

 さて、『東方文果真報』は愛すべきマスゴミ射命丸文の書いた「週刊誌」なるものの体裁をとっている書籍だ。

 冒頭に、この週刊誌『文々春新報』はとある理由で世に出ることがなかった、と文のメモが添えられている。なぜ発売中止となったのか、そもそも文の書いた週刊誌とはいかなるものであるのか。読者に少しの疑問を持たせながら、本書は始まる。

 

 『文々春新報』はかの『文々。新聞』以上に過激な見出し、誇張された事実、偏った見地に満ち満ちた雑誌である。近頃幻想郷を訪れる新たな人妖への不信感や、巫女への糾弾や果ては陰謀論までが語られる過激な記事の連続だ。

 鈴奈庵では近頃出番の多い文。確かに天狗は情報による台頭を目指していると言われていたけど、文ちゃんってここまでマスゴミ然としてたっけ? と思わせるぐらいの過激っぷり。それも完全なでっちあげでなく、写真の加工、インタビューの誇張など、事実に基づいて捻じ曲げられているから恐ろしい。なぜ文がここまでするのか? それは、巻末の発売中止顛末書にて、文自身の口から語られることとなる。

 とは言え、どこまで言っても幻想郷。やりすぎなくらいの文の記事はやはりどこか滑稽で、くすりと笑みがこぼれるようなものばかりだった。

 異界からの来訪者。薄れる境界。巫女の怠慢(?)。大妖怪の陰謀(?)。幻想郷社会を守るには……このあたりが『文々春新報』のキーワードである。

 

 本筋は以上の通りであるが、本書の魅力は何より、幻想郷の人妖がその中に息づいていることだと思う。メインテーマからは少しそれた記事の中に彼女らの暮らしぶりがリアルに感じられた。

 書籍版の『東方文花帖』発行から住人が大いに増えたことも一因だろうか。ゲームでは見られなかった意外な組み合わせや新しくも納得の組み合わせ、あるいはおなじみの顔ぶれの生活の一端が垣間見えるのは、純粋に楽しい。近頃露出の少なかったキャラクターたちの登場に喜んだファンも多いのではないだろうか。

 また、幻想郷住人が『文々春新報』に寄稿したコラムや小説が掲載されていて、これが面白かった。私のオススメは「霧雨魔理沙のラッキー弾幕占い」と「MはMで死ぬ」である。「アガサクリスQ」の小説が実際に読める日が来るとは! こういった作品世界の中を体験できるような手法は非常に好みなので嬉しかった。是非、『東方鈴奈庵』と合わせて読んで頂きたい。

 

 そんな『文々春新報』の最後を飾るのは二つの対談記事である。近頃の幻想郷社会における代表的な「異界人」二名への直撃取材によって、自称正義の記者は真実を掴めるのか、否か。

 

以下はネタバレを含む雑多な萌えポイントなど。

この先、十万億土

 

 

 

 

 

 

 

 

・やっぱり八雲紫氏大好きだし思わせぶりなこと言って欲しいので今回の供給は非常にありがたいと思った。

・天子の天人特有の上から目線ほんとむかつくしかわいい。こうでなくては。

・買った枕の使い心地聞きに来てくれるとかドレミーさんいい人かよ。僕も枕欲しい。

雷鼓さん、咲夜さんに「強い」って言わせるくらい力のある妖怪なのに幻想郷の音楽シーンしか眼中にないのかわいい。

・「お菓子食べ過ぎたらだめだよ!」って講演する神子さまかわいすぎる。

・わかさぎ姫と針妙丸は意外な組み合わせだった。でも意外とウマが合いそう。

・「読者からのたより」コーナーの咲夜さん最高に咲夜さんで大好き。シビれる。

・ヘカーティアさん流石に大物というべきか非常に聡い。紫と繋がりはおそらくないのに紫と同じようなことを言っているので幻想郷の本質を瞬時に捉えているのだと思う。

・地獄の女神って肩書だし、「最強」とか神主がよく言ってたから地獄の元締めかなにかなのかなと思ってたけど、というよりは組織には属さない孤高の実力者って感じなのね。

・クラピってやっぱり相当強い部類なんだな。ヘカさんがクラピのこと高く評価してたり、甘味処で仲良く談笑してるのも可愛かった。

・裏表紙のダサイTシャツ来てないヘカさんとイカしたドレス来てないクラピちゃんめっちゃKAWAIIだと思った。女神の貫禄がすごくある。

・文が実ははたての実力を評価してライバル視してるの凄く熱いと思った。

 

 ……幻想郷に新しい風が入ることを厭う論調を展開した文。しかしこれはそもそも、文が花果子念報へのカウンターとして外界式の報道に手を染めたことから始まっていた……皮肉のきいてるオチである。

 そして、地獄の女神から語られた恐るべき陰謀の真偽や如何に。「深秘録」以来の月の民絡みの騒動は今しばらく続くようだ。

【了】

 

 

(薬物問題をパロった記事の挿絵をALISON氏が描いてるの面白すぎると思いました。あと、火鳥さんはやっぱり「持ってる」なァ……)

火鳥でできるもん!様のC91本(と、既刊)

コミケには行ったことのない僕ですが、とある神のご厚意で火鳥でできるもん!様のC91会場限定版が手に入りました。

非常に良くして頂いたので、これは火鳥さんにツイッターで感想をお送りしよう! と思ったのですが、140文字に収めきれないし連リプするのもはばかられたので、こちらに感想をまとめておきます。(既刊「いつもの」も購入させていただいたのでそちらも併せて)

 

読後のテンションでブワッと書いたので、乱雑な箇条書きですが……。

 

◆なかよし紅魔学園

「いつもの」以上にいつもの感あふれる一コマ目

控えめに手を上げる正邪とか、面接に一生懸命な映姫様とか、本筋にあまり絡まないキャラがとにかく可愛い

毎度私物盗まれる上に大体のコマ化け物みたいな顔で描かれてる咲夜さんほんとうにかわいそう

夢オチでよかった……救われねえ……

火鳥さんとこの表情薄めのドレミーさんほんとかわええ

 

◆いつもの

「いつもの」と言っておきながら意外、それは咲夜さんから攻勢をかける流れ

キャラによって絵柄が変わるのほんとすごい。カートゥーン風味のクラピKAWAII

大物感あるドレミーさんほんとかわええ

19ページの咲夜さんかつてないほど怖かったです

やっぱりセリフ回しのセンスが抜群すぎる。今回は正邪の台詞がキレッキレだと思いました。「名探偵だなあんた 私は「協力」ってやつが一番好きなんだ」とかギャグマンガ読んでるはずなのにシビれた……

列をギュルンとひっくり返す正邪普通にかっこいい。シビれる

毎度ながら、いくつかのストーリーが交わってオチに向かって一気に畳み掛ける構成が鮮やかすぎます。

 

◆いつものおまけ

清蘭と鈴湖が妙に綺麗だなと思ってたら一番闇でした。

 

めちゃくちゃ面白かったです。

火鳥さんの圧倒的画力と緻密な構成から繰り出されるクソみたいなギャグ、大好きです(下品な褒め方しか出来なくてすみません)

いやー、読めてよかった。ありがとうございました。

 

それとこれは半分自慢なのですが、ほんと、ご厚意でこんな、本当にありがとうございました……コミケ当日なんてお忙しいだろうに……。

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ぱぢ

生き残るために命を切り売りするジレンマ。「グレナサクリファイス」感想

 

魔法装飾図様「グレナサクリファイス」をプレイしました。

公式ページはこちらであります。

 

「グレナサクリファイス」は、あらゆる行動にリスクとメリットが伴う、ジレンマ型RPGです。

本作は一方通行に進む全8ステージの中で、アイテムを取捨選択し、ステータスを取捨選択し、自身の命を取捨選択しながら進んでいきます。

主人公の持つ攻撃手段はアイテムのみ。ロングソードやダガーと言った武器は装備品ではなく、ほぼ全てが使用回数の設定された消費アイテムです。ではアイテムを節約しながら進むのがいいのかというと、そうではない。アイテムは残り使用回数が1になると、攻撃力が3倍されるのですが、本作はこのシステムを活かさない限り、クリアの難しいゲームバランスになっているからです。

また、アイテムを使い切ると能力値を上げるためのポイント「Faith」が得られます。このFaithをより多く手に入れ、効果的にパラメータを強化することもクリアへの鍵となります。

しかし、当然無闇にアイテムを使いすぎると、攻撃手段が無くなってしまう……このジレンマの中で、どのタイミングでアイテムを使い切るか? その選択が「グレナサクリファイス」のキモの一つです。

 

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使用回数の多いアイテムほど、使い切った時の獲得Faithが大きい。

アイテムの使い道はもう一つあり、神に「捧げる」ことで、HPをMAXまで回復させることができます。このゲームにおけるHP回復手段は少なく、ほぼ「捧げる」に頼らざるを得ません。

しかしその場合、攻撃手段とFaithの獲得機会を同時に失うことになります。ここでも、取捨選択のジレンマがプレイヤーに付きつけられるわけです。

更に、肝心のアイテムを所持できる数も初期値では4枠と少なく、これを拡張するには決して安くないFaithを支払う必要があります。HPや筋力などのパラメータを強化するのか、それともアイテム枠を拡張するか……ここにもまたジレンマが生まれます。

 

さて、このゲームの必須要素であるアイテムはどのようにして手に入るのか。

各ステージに一度、宝箱からアイテムを手にする機会はありますが、基本的には商人からの購入が主になるでしょう。ただし、このゲームに通貨の数値は存在しません。

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「お代は命で結構よ。」

……全てのアイテムは、「最大HP」と引き換えに購入します。

無計画にアイテムを購入しすぎると、最大HPは見る見る減っていきます。最大HPが低くては、「捧げる」もほとんど意味を持たなくなり、あっという間にゲームオーバーに導かれます。またしても、慎重な取捨選択が重要になってくるのです。

 

ひとまず剣士・hardでクリアしてみた感想ですが、個人的にはFaithを稼ぐことが重要かな……と言った印象。アイテムを出し惜しみせずにFaithを稼ぐようにしていると、HP筋力魔力がまんべんなく強化できていい感じでした。所持してると獲得Faithが1加算されるアイテムもあったので、それを早いうちに引けると美味しい。アイテム枠は5個でちょうどいいように思えました。

 

難易度はeasy、hard、very hard、impossibleと四つ用意されています。余談ですが、easyの次がnormalでなくhardというところに美学を感じます。

 

イラストも大変美麗。各ステータスに対応した5人の女神様がいるんですが、皆それぞれすごくかわいいです。商人さんもかわいいよ。

 

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魔力を高めてくれるユールメリテ様。かわいい。

しかし商人さん、最大HPと引き換えにアイテムを売ってくれたり、ラストダンジョンで平気で商売してたり、一体何者なんだろう……ラストダンジョンで平然としてる商人ってRPGではたまにありますけど、命と引き換えに物を売るという設定が謎めいた感じを演出してます。てっきり黒幕だとばかり……。

ちなみに本作、ストーリーにはあまり重きを置いていない印象でした。コンパクトにまとまっている本作において、過度にテキスト量が多くてもダレてしまうので、そこは気にならない点です。

 

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 クリアリザルト。

 

「グレナサクリファイス」は完成されたシステムでありながらも、更に拡充を重ねていける可能性を秘めた作品だと感じます。是非次回作の開発を期待したい……! そして次があるなら、ストーリーや世界観についても、もう一歩踏み込んでいたらいいな。

 

以上、「グレナサクリファイス」の感想でありました。おもしろかったです。

 

ぱぢ