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偏向記事の颪が吹く! 外界式報道がもたらす「排他主義」 ( 『東方文果真報』感想)

 『東方文果真報 ~ Alternative Facts in Eastern Utopia.』。非常に面白かったので、これから買おうかどうか迷っている方の参考になればと思い、感想を書きます。

 

 さて、『東方文果真報』は愛すべきマスゴミ射命丸文の書いた「週刊誌」なるものの体裁をとっている書籍だ。

 冒頭に、この週刊誌『文々春新報』はとある理由で世に出ることがなかった、と文のメモが添えられている。なぜ発売中止となったのか、そもそも文の書いた週刊誌とはいかなるものであるのか。読者に少しの疑問を持たせながら、本書は始まる。

 

 『文々春新報』はかの『文々。新聞』以上に過激な見出し、誇張された事実、偏った見地に満ち満ちた雑誌である。近頃幻想郷を訪れる新たな人妖への不信感や、巫女への糾弾や果ては陰謀論までが語られる過激な記事の連続だ。

 鈴奈庵では近頃出番の多い文。確かに天狗は情報による台頭を目指していると言われていたけど、文ちゃんってここまでマスゴミ然としてたっけ? と思わせるぐらいの過激っぷり。それも完全なでっちあげでなく、写真の加工、インタビューの誇張など、事実に基づいて捻じ曲げられているから恐ろしい。なぜ文がここまでするのか? それは、巻末の発売中止顛末書にて、文自身の口から語られることとなる。

 とは言え、どこまで言っても幻想郷。やりすぎなくらいの文の記事はやはりどこか滑稽で、くすりと笑みがこぼれるようなものばかりだった。

 異界からの来訪者。薄れる境界。巫女の怠慢(?)。大妖怪の陰謀(?)。幻想郷社会を守るには……このあたりが『文々春新報』のキーワードである。

 

 本筋は以上の通りであるが、本書の魅力は何より、幻想郷の人妖がその中に息づいていることだと思う。メインテーマからは少しそれた記事の中に彼女らの暮らしぶりがリアルに感じられた。

 書籍版の『東方文花帖』発行から住人が大いに増えたことも一因だろうか。ゲームでは見られなかった意外な組み合わせや新しくも納得の組み合わせ、あるいはおなじみの顔ぶれの生活の一端が垣間見えるのは、純粋に楽しい。近頃露出の少なかったキャラクターたちの登場に喜んだファンも多いのではないだろうか。

 また、幻想郷住人が『文々春新報』に寄稿したコラムや小説が掲載されていて、これが面白かった。私のオススメは「霧雨魔理沙のラッキー弾幕占い」と「MはMで死ぬ」である。「アガサクリスQ」の小説が実際に読める日が来るとは! こういった作品世界の中を体験できるような手法は非常に好みなので嬉しかった。是非、『東方鈴奈庵』と合わせて読んで頂きたい。

 

 そんな『文々春新報』の最後を飾るのは二つの対談記事である。近頃の幻想郷社会における代表的な「異界人」二名への直撃取材によって、自称正義の記者は真実を掴めるのか、否か。

 

以下はネタバレを含む雑多な萌えポイントなど。

この先、十万億土

 

 

 

 

 

 

 

 

・やっぱり八雲紫氏大好きだし思わせぶりなこと言って欲しいので今回の供給は非常にありがたいと思った。

・天子の天人特有の上から目線ほんとむかつくしかわいい。こうでなくては。

・買った枕の使い心地聞きに来てくれるとかドレミーさんいい人かよ。僕も枕欲しい。

雷鼓さん、咲夜さんに「強い」って言わせるくらい力のある妖怪なのに幻想郷の音楽シーンしか眼中にないのかわいい。

・「お菓子食べ過ぎたらだめだよ!」って講演する神子さまかわいすぎる。

・わかさぎ姫と針妙丸は意外な組み合わせだった。でも意外とウマが合いそう。

・「読者からのたより」コーナーの咲夜さん最高に咲夜さんで大好き。シビれる。

・ヘカーティアさん流石に大物というべきか非常に聡い。紫と繋がりはおそらくないのに紫と同じようなことを言っているので幻想郷の本質を瞬時に捉えているのだと思う。

・地獄の女神って肩書だし、「最強」とか神主がよく言ってたから地獄の元締めかなにかなのかなと思ってたけど、というよりは組織には属さない孤高の実力者って感じなのね。

・クラピってやっぱり相当強い部類なんだな。ヘカさんがクラピのこと高く評価してたり、甘味処で仲良く談笑してるのも可愛かった。

・裏表紙のダサイTシャツ来てないヘカさんとイカしたドレス来てないクラピちゃんめっちゃKAWAIIだと思った。女神の貫禄がすごくある。

・文が実ははたての実力を評価してライバル視してるの凄く熱いと思った。

 

 ……幻想郷に新しい風が入ることを厭う論調を展開した文。しかしこれはそもそも、文が花果子念報へのカウンターとして外界式の報道に手を染めたことから始まっていた……皮肉のきいてるオチである。

 そして、地獄の女神から語られた恐るべき陰謀の真偽や如何に。「深秘録」以来の月の民絡みの騒動は今しばらく続くようだ。

【了】

 

 

(薬物問題をパロった記事の挿絵をALISON氏が描いてるの面白すぎると思いました。あと、火鳥さんはやっぱり「持ってる」なァ……)